欺瞞

切り裂くように服を破いて、痣が青く残るくらい肩をつかんでほうりなげる、まるで物でも投げるように、苛々しているわけではなく、その態度が相手を言うがままにするのに適していると本能がわかっているのだ、暴力的に聞かせることに長けたそのしぐさで、本…

発酵と調理

. 発酵というのがいつか自分の大きなテーマになるだろう、とは薄々感じていて、発酵なんだよね〜とはずっと口にしていた。 . ものには隙間がある。そこに油や、水や、空気や、言葉は入り込む。それは水のように滲み入る時もあれば、粉のように小さな穴を進ん…

プロット

人形たちはたまらなく美しい。すべてきちんとならべてあって、埃がつかないように欠かさずきれいにしている。 人形たちは勝手に動いている。それを頭の中で何を考えているとか、何をしゃべっているとか、考えてはいけない。愚かな行動や、優れた行為というの…

未定2

机の上に乱雑に並べられた中華料理、それも、ハリウッドの中華街で買ったようなテイクアウトの紙袋に入った赤めの肉料理や茶色い海鮮、卵のスープ、それぞれが乱雑に、そのいくつかは傾いて中身が溢れている、八角の匂いと唐辛子と紹興酒、部屋の真ん中のピ…

mon petit au lait grasse

上唇で抑えるように、苦さを肌の上で感じながら、舌の中に甘いミルクを滑り込ませていく。まるで下着と肌の間に手を潜ませていくように、慎重に、そして愛を込めて飲み込んでいく。言葉は物事と物事との間を進んでいく。あれとこれのあいだ、過去とと未来の…

ホーリーマウンテン雑記

急遽休日になった。センスねえって言われたのでホドロフスキーのホーリー・マウンテンとエルトポを一気に見ていたのだけれど、●●●が金になったり(●●●ミュージアムはこれを延々と流し続ければ俺の好きなコンテンツになる)ヒキガエル十字軍が大爆死したりと、…

雑記

「人間関係の内側に入り込めない」という台詞を酔潰れた女が絵の本の中で吐いていて、嗚呼僕も僕も!と頷いていた。人間が下手なので人間が下手そうな相手にしかシンパシーを感じないが僕がシンパシーを感じたところで相手は迷惑千万だししかも人間下手そう…

ウォールフラワー雑記

「人間というものは、根源的に孤独な生き物だ。その相手も孤独だから、人に左右されることはない」 バンド ザ・スミスのボーカル、モリッシーは強い人間で、だからこそ一人で生きていけるし、生きていかなければならないことも知っている。だからこそ彼が歌…

未定1

生鮮概念市場までの道は5分ほどの、木に囲まれた道をゆく。朝の真夏の太陽が傾いたり動いたりするのを私は認識できない。太陽は時計の太い針のようにどこかで動いてるはずだけれどそれをなかなか見ることができないようにふと見るとすでに動いている。でもそ…

脳内遠泳

ひさびさの物を書くってことに今更怖気付きながらそれでもはじめていく、さいきんキーボードで文字を打つことはほとんどなくて、スマホのフリックばかりになってしまってどんどん文字との距離は遠ざかるばかりです。文字と指、ひいては指と思考の感覚が遠い…

映画ファーゴ 批評

■序 このテクストは例えば作者である私の中に起きたあらゆる思考の積み重ねや感情、内懐を忠実に綴方のようにあらわしたものではない。 このテクストが某年何月何日某所で書かれたものであるという明示は、この文章そのものの解読において一切至要としない。…

手紙2

昨日に続き今日もサーロインがバカ売れ。今日は仮眠します。赤いボサボサのアフロにばっちりメイクのピエロは、ペニーワイズといって、相手が恐ろしいものに化けて子供に恐怖を与える。なぜ恐怖を与えるかというと、それは単純な設定がつけてあって、恐怖を…

手紙1

「愛は告白してはいけない。それは人を愛しているのではなく告白を愛しているからだ。」と、絶対、どこかで聞いたはずで、だからこの言葉がスプレーのように浮かんできた。書きなぐり?書き逃げ?落書き、いたずら書きされたように心に張り付いている。愛は…

酒という海を泳いで渡る、をわたる冒険

昔「酒という海を泳いで渡る」というブログを書いていた。二年前に消したはずだと思っていたが、ほとんどの記事を消しただけで、ブログそのものは残っている。あの時は戯れに小説やエッセイ、はたまたウラジーミル・ソローキンのインタビュー書き起こしなど…